発注書・納品書の手入力、OCRでなくせるか? ― 会計システム連携まで本気で調べてみる

こんにちは、Onsite Solution の村上です。

今回は新しい取り組みの話です。先日、こんなご相談をいただきました。

「毎日届く発注書や納品書を、事務の担当者が手で会計システムに打ち直している。入力にも時間がかかるし、納品書と発注内容を突き合わせる検収作業も人の目頼み。これ、なんとか自動化できませんか?」

——製造業に限らず、モノを仕入れて売るすべての会社に心当たりがあるのではないでしょうか。紙やPDFで届く帳票を、人間が読んで、システムに転記する。地味ですが毎日発生し、積み重なると相当な時間を食う作業です。

そこで今回は、OCR(文字の自動読み取り)で帳票をデータ化し、会計システムに連携して、手入力と検収作業を省力化・自動化する——これがどこまで現実的にできるのか、本気で調べて、実際に形にしていくことにしました。

いつもどおり、実際にいただいた案件を題材に、社内でどう検証し、どこでつまずいたかまで赤裸々に公開していくスタイルでお届けします。

そもそも、何がそんなに大変なのか

まず、この手の業務で現場が抱えている負担を整理してみます。

  • 転記作業そのもの……届いた発注書・納品書を1枚ずつ見ながら、日付・取引先・品目・数量・金額をシステムに手入力。件数が多い日は、これだけで午前中が終わる
  • 転記ミスのリスク……数字の打ち間違いは、あとで請求額の不一致として跳ね返ってくる。見つけるのも直すのも大変
  • 検収の突き合わせ……「発注した内容どおりに納品されたか」を、発注書と納品書を並べて目で照合。漏れると支払いトラブルの元
  • 属人化……「あの取引先の納品書はクセがあるから○○さんしか処理できない」が起きがち

つまり課題は「入力が面倒」だけではなく、ミスのリスクと属人化もセットになっているのがポイントです。逆に言えば、ここを仕組みで解決できれば、時間短縮以上の効果が見込めます。

実現までのステップを設計する

「OCRを入れれば終わり」ではありません。調べはじめてすぐに分かったのは、OCRは全体の工程のひとつでしかないということです。今回の案件で想定している流れは、次の6ステップです。

  1. 現在の業務フローの確認……誰が・いつ・どの帳票を・どう処理しているかを洗い出す。自動化の設計図はここからしか描けない
  2. 帳票のデータ形式の確認と変換……発注書・納品書は紙で届くのか、FAXか、PDFか。紙ならスキャンの運用をどうするか。OCRに渡せる形に揃える工程
  3. OCR読み取り……帳票から日付・取引先・品目・数量・金額などの項目を抽出する。ここが今回の技術検証の本丸
  4. データ整理……読み取った結果を、取引先マスタや品目マスタと照合して正規化する。「(株)」と「株式会社」の表記ゆれみたいな現実と戦う工程
  5. CSV出力……会計システムが取り込める形式に整形して書き出す
  6. 会計システム連携……CSVの取り込み、あるいはAPIでの直接連携。ここまで繋がって初めて「手入力ゼロ」が見えてくる

こうして並べると、OCRの精度と同じくらい「前後の工程」が大事なことが分かります。どんなに読み取りが正確でも、業務フローに乗らなければ使われませんし、マスタと照合できなければ結局人が直すことになります。

OCRと一口に言っても、選択肢はいろいろ

本丸のOCRについても、いま使える手段を調べはじめています。ざっくり分けるとこんな構図です。

  • 従来型のOCR……決まったレイアウトの帳票に強い。フォーマットが固定ならコスパ良し
  • AI-OCR……レイアウトが取引先ごとにバラバラでも、項目を推定して読み取ってくれるタイプ。クラウドサービスとして月額制のものが多い
  • 生成AI(LLM)を使った読み取り……画像やPDFをそのままAIに渡して「この納品書から品目と金額を抜き出して」とお願いする方式。ここ1〜2年で精度が大きく上がってきた注目株

どれが正解かは、帳票の種類数・月間の件数・求める精度・かけられる費用で変わります。今回の案件ではそれぞれを実際に試して、精度とコストを比較するところまでやるつもりです。この比較結果は、続編の記事でしっかり公開します。

まずやるのは「業務フローの確認」から

技術の検証から入りたくなるところですが、最初のステップは現場の業務フローの確認と決めています。

これは前回の バーチャル工場見学の取り組み で痛感した、「手段を目的にしない」という学びがあるからです。OCRの導入はあくまで手段。達成したいのは「手入力と検収の負担をなくして、担当者がもっと価値のある仕事に時間を使えるようにする」ことです。

だからこそ、最初に確認すべきはツールの性能ではなく——

  • いま、帳票が届いてから会計システムに入るまで、何分・何工程かかっているのか
  • どこでミスが起きやすいのか
  • 自動化したとき、人がチェックすべき箇所はどこに残るのか

——という現場の実態です。ここを数字で押さえておけば、導入後に「どれだけ楽になったか」も数字で示せます。

続きはまたこのブログで

というわけで、今回は取り組みの宣言と全体設計の話でした。ここから、

  1. 業務フローのヒアリングと現状整理
  2. 実際の帳票サンプルでのOCR読み取り検証(複数方式の比較)
  3. データ整理〜CSV出力の仕組みづくり
  4. 会計システムへの連携テスト

と進めていきます。うまくいったことも、つまずいたことも、このブログで順番にレポートしていきます。 「OCRって実際どのくらい読めるの?」が気になる方は、ぜひ続きも見にきてください。

同じ悩みをお持ちのみなさんへ

「毎日の手入力、なんとかしたい」「検収の突き合わせが大変」——もし同じ悩みをお持ちなら、OCRと仕組みの工夫で解決できる可能性は十分にあります。ただし大事なのは、ツール選びの前に自社の業務フローを把握すること。そこから一緒に考えるのが、遠回りに見えて一番の近道です。

Onsite Solution では、こうしたバックオフィス業務の省力化・自動化も、現場に寄り添いながらお手伝いしています。「うちの帳票でもできる?」というご相談、いつでも お気軽にご相談ください。

それでは、また 📄


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